2024.02.07
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お口の健康と全身の関係+認知機能
「お口の健康と全身の健康」は深い関係にあり、口腔内の悪化は全身状態の悪化、認知機能の低下につながることはいまや周知の事実です。そこで、東京都健康長寿医療センター研究所は研究トピックスとして「栄養・口腔ケアのちょい足し:オーラルフレイル対策でいつまでもおいしく食べよう!」を公表しています。その要点は、口腔内のちょっとしたトラブルでも、早期に対処することが介護予防にとって重要であるということです。フレイル状態(加齢に伴い抵抗力が弱まり、体力が低下した状態)になると、介護が必要な状態になるリスクが高まります。特に、フレイル予防のためには「食べる」機能、中でも「咀嚼(噛む)」機能がとりわけ重要であることを本研究では強調しています。実際、次のような研究結果も明らかにしています。(1)歯の数(2)咀嚼の困難感(3)嚥下の困難感(4)舌の力(5)舌口唇運動機能(6)咀嚼力の6項目のうち「3項目以上該当する」場合を「オーラルフレイル」と定義したとき、高齢者の2割程度(19.3-20.4%)が「オーラフレイル」に該当するそうです。また、「孤食」の人は、そうでない人に比べて、様々な条件を加味しても「オーラルフレイルの割合が1.82倍」高いとか。加えて、オーラルフレイルの高齢者は、そうでない高齢者に比べ「低栄養状態である割合が2.17倍」高いという結果も出ています、同研究所が行った4年間の追跡調査によると、「オーラルフレイルの高齢者は、死亡リスクが高まる(そうでない者に比べて2.1倍)。身体的フレイルになりやすい(同2.4倍)。そして要介護状態に陥りやすい(同2.4倍)」ということです。加えて、咀嚼機能が高まれば、注意機能(目や耳などから得られる膨大な量の感覚情報を取捨選択して、脳が情報を処理する機能で、大切なことに意識を集中する働き)が向上することを明らかにしたと述べています。咀嚼能力を高めれば認知能力も高まるという相互の関係がこれらの研究から分かるのではないでしょうか。
「オーラルフレイルの予防・改善」のために、定期的な歯科受診や口腔機能維持トレーニング実施を—都健康長寿医療センター | GemMed | データが拓く新時代医療 (ghc-j.com)