2023.11.10
- ニュース
血しょうバイオマーカーがアミロイドPET結果を高精度に予測
日本で認知症に罹患する人は2025年には675万人と推計されていますが、そのうち多くをアルツハイマー型認知症が占め、その数は466万人になるそうです。ご存知のように、アルツハイマー病は、「脳内のAβとそれに続くタウ蛋白の異常な蓄積により引き起こされ、その結果、脳内の神経変性が起こり認知機能障害に至たる」病気です。因みに、アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病により認知症に至った状態を指すそうです。こうした背景から、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室と慶應義塾大学病院メモリーセンターの 研究チームは、血しょうバイオマーカーであるアミロイド β42/40 比がアミロイド PET 検査による脳内アミロイド β 沈着を高精度に予測できると発表しました。つまり、アルツハイマー型認知症の中心的病理である脳内アミロイド βの沈着が、広範な対象者に対して簡易な血液検査のみで高精度にスクリーニングできる可能性を示したというわけです。通常、アルツハイマー型認知症の臨床診断は、物忘れなどを含む認知機能障害や精神的な症状、頭部 MRI 検査、脳血流検査などで行われますが、必ずしもその診断精度は高くようです。加えて、「アミロイド PET 検査」や「脳脊髄液検査」といった手段もありますが、前者は高額で、設備の整った施設が必要。また、後者は検査における肉体的負担も小さくなく、広く適用されるには至っていないようです。従って、本研究により、アルツハイマー病のスクリーニングとして「血しょうAβ42/40比」が有望である可能性が示されたことは、今後国内で広く利用され、幅広い患者への適用が可能になるだろうと期待を寄せています。
血しょうバイオマーカーがアミロイドPET結果を高精度に予測-アルツハイマー病のスクリーニングに有用な可能性-:[慶應義塾] (keio.ac.jp)