2024.01.31
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新型コロナウイルスが血管に与える影響とは?
「新型コロナウイルスの気管支への感染が血管の構造と機能を低下させることをチップ上で再現」と発表したのは、京都大学大学院工学研究科らの研究グループ。 三次元的な構造を持った気管支と血管の組織を再現できる生体模倣システムを開発し、新型コロナウイルスへの感染によって放出されるインターフェロン分子が血管の構造に影響を与えることを発見したと述べています。ご存じのように、新型コロナウイルスがヒト呼吸器系臓器に感染することがよく知られていますが、心臓や血管など呼吸器以外の臓器にも影響を与え、さまざまな症状を引き起こすこともあるそうです。しかし、生体内では複数の臓器における様々な症状が同時多発的に起こるため、それぞれの臓器への感染などを詳しく理解するためには、生体外でそれらを調べる方法が必要です。残念ながら、今まではウイルス感染により細胞から放出されるサイトカインが他の細胞に与える影響や、血管構造・機能への影響を調べることは困難だったとか。そこで、 本研究では、「生体内の環境を再現するためにマイクロ流体デバイスを用いた生体模倣システムを活用し、ヒト気管支上皮細胞からなるオルガノイドと三次元的な血管網を共培養する技術を開発した」ということです。このことで、気管支上皮細胞あるいは血管網に選択的に新型コロナウイルスを感染させることが可能になり、その結果、「ウイルスは気管支上皮細胞に感染するものの血管内皮細胞には感染しにくいこと、そして感染した気管支上皮細胞からの I 型インターフェロンが血管構造を壊し、その機能を低下させること」が分かったそうです。本研究グループは、「このモデルを使うことで、新型コロナウイルスが血管に影響を与える過程をさらに理解することや、将来出現する可能性のある新しい感染症にこの技術を応用し、そのメカニズムを解明するために役立つことが期待できる」と結んでいます。
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/topics/r60124seika_yokokawa