2024.01.26
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老化細胞は減るの?
「不老不死」のテーマは実に魅力的です。昔と比べて平均寿命は延び、老化の速度は確実に遅くなりましたが、生物学的には、120歳が人間の寿命の限界だそうです。1月21日付東京新聞の記事によると、老化の鍵となるのは加齢によって体内に蓄積する「老化細胞」なのだとか。「老化細胞を効率よく除去する方法」と題するその記事の中で、東京大医科学研究所らの研究チームは、老化細胞の周りでは「慢性炎症を引き起こす細胞」があり、この炎症が老化の原因だそうです。そこで、老化細胞を除去する方法として「GLS1(グルタミナーゼ)阻害剤」が有効であることが分かったそうです。因みに、がんに関しても慢性炎症が一因になっているようで、がん治療薬としてこの阻害剤を投与する臨床実験が米国ではすでに進んでいるとか。しかし、本来老化細胞は免疫で取り除かれるはずなのに、なぜ一部は残り続けるのでしょうか。本研究チームは、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために出している「PD-L1」というたんぱく質に着目。このたんぱく質は免疫の攻撃を受けないようにブレーキをかける働きがあるのだそうです。そこで、「抗PD-1」抗体を投与すると老化細胞が減少し、筋肉も回復したということです。本研究は、寿命を延ばすのが第一の目的ではなく、介護を受けずに日常生活を送れる期間を示す健康寿命の延伸を目指しているのだそうです。そして、「老化への介入は究極の予防医学」であると述べています。