2024.01.17
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先進医療と標準医療
厚労省によると、「先進医療」は令和5年12月1日現在で80種類 の技術名が列記されていますが、中でも比較的よく目にするのは、放射線の一種である粒子線(陽子線)を病巣に照射することにより悪性腫瘍を治療する「陽子線治療」、重粒子線(炭素イオン線)を体外から病巣に対して照射する治療法の「重粒子線治療」くらいでしょうか。この先進医療とは、厚生労働省が認めた高度な医療技術のことで、がんや難病に対する新しい治療法や手術、検査などを含みます。先進医療は、公的医療保険の対象外なので、技術料は全額自己負担。つまり高額医療費となります。基本的に、一般的な保険診療を行うなかで、医師が必要性や適応の有無を判断した場合、そして患者が望んだ場合に行われるようです。さて、時事メディカルに外科医の山本健人医師が「先進医療か標準医療か」と題するコラムを掲載していて、先進医療と聞くと「最先端の優れた治療」「高額な分、効果も高い治療」「可能なら誰もがトライした方がいい治療」というイメージを持つ方が多いのではないか、でも、先端医療とは「まだ効果が十分に確かめられていないので、保険が利かない 」「将来的には保険が利くかもしれないが、そうならないかもしれない」という意味を含んでいると話し、「まだ新し過ぎるがゆえに効果が定まっておらず、そのために保険が利かず、全額自費で高額になる」と述べています。一方、エビデンスが十分にある治療のことを「標準治療」と呼び、現時点での「最高レベルの治療」と論じています。効果が確かな治療ほど安いというのが、わが国の医療における原則なのだそうです。ともあれ、先端医療も標準医療も厚労省のお墨付きがありますが、たとえいいと言われても高額な民間療法には十分ご注意くださいね。