2025.11.26
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産業排水や汚水、海水の浄化に役立つ新材料開発
「産業排水や汚水、海水などの水処理の現場では、大量に含まれる塩類を除去するために膜処理が用いられます。その際、水中に有機物が含まれていると膜を詰まらせてしまうため、事前に有機物を取り除く必要がある」との課題に取り組む国立研究開発法人日本原子力研究開発機構原子力科学研究所物質科学研究センターらの共同研究グループは、「光触媒として使われる酸化タングステンの微細粒を、スポンジのように水を含みつつ形を保つ物質(多孔質ゲル)に固定した『光触媒ゲル』を開発しました。粒同士が半透明ゲル中で分散保持されるので、汚れと反応しやすい状態が維持できています。塩類が多い環境でも汚れを分解でき、従来材料よりも4〜13倍も高効率で分解できることを確認した」と発表しました。実は、工場などから出る排水には分解しにくい有機物の「しつこい汚れ」が含まれ、水質保全上、除去すべき対象であり、加えて、塩分の多い水に含まれる有機物の存在は、産業排水処理や海水淡水化の試薬消費量や処理コストが高くなる原因の一つとなっているそうです。ただ、光の力で物質の分解を助ける光触媒技術は環境にやさしい方法ですが、これまでの材料には塩類が多い場所でうまくはたらかないという問題があったとか。本研究グループは、「水処理は、原子力施設における再処理においても放射性ヨウ素類などの難処理核種の除去に必要な技術です。本成果はこうした水処理技術の高度化に資する可能性があり、持続可能な水処理の実現に向けた基盤づくりの一助となることが期待されます」と結んでいます。
“塩分”の多い水も浄化 光で力を引き出す新材料を開発 ―環境負荷ゼロで産業排水や海水など幅広い水処理へ―|日本原子力研究開発機構:プレス発表
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

