港区立高輪いきいきプラザ

2025.11.21

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細胞社会の秩序を維持する「力とカルシウムの連携プレー」って何?

人間のからだの中で起こっていることは「神秘の連続」と言っても過言ではありません。

奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域及び京都大学医学研究科らの共同研究グループは、「細胞が互いに力を伝え合いながら不要な細胞を排除して秩序を保つ新しい仕組みを発見した」と発表しました。私たちの体の表面を覆う上皮組織では、古くなったり傷ついたりした細胞が自ら死んで取り除かれることで、組織の健全な状態が維持されていますが、アポトーシスという現象により、死細胞が押し出されて除去される過程はアポトーシス細胞排除と呼ばれているそうです。本研究では、このアポトーシス細胞排除の過程で、カルシウムイオン(Ca²⁺)の一時的な濃度上昇 に伴う「カルシウム波」(そのシグナルが隣接する細胞へと波のように伝わる現象)が細胞間を伝わり、細胞集団の協調的な動きを促すことで細胞が排除されることを明らかにしたといいます。当プレスリリースによると、従来、カルシウム波の伝達には隣接する細胞同士を直接つないで分子の通り道を作る「ギャップ結合」(隣同士の細胞をつなげるチャンネル)が不可欠と考えられてきましたが、本研究グループは、ギャップ結合がなくてもカルシウム波が隣接する細胞へと伝わることを発見したと述べています。本研究グループは、「細胞が力を介して情報を伝え合うという新しい細胞間コミュニケーションの仕組みを明らかにしたものです。このメカニズムは、正常な上皮組織の維持だけでなく、がんの浸潤や転移、創傷治癒、組織再生など、多くの生命現象に関わっている可能性があります。 今後は、異常な力学シグナルやカルシウム波伝達の破綻が、がんや老化関連疾患の発症・進展にどのように関与するかを解析していくことで、新しい治療法や再生医療への応用を目指します」と結んでいます。

251118.pdf

画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

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