2025.11.19
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「変化した身体」にヒトはどう適応するのか?
「交通事故などによる外傷や脳梗塞による麻痺発症などで身体の筋骨格構造や機能が急激に変わったときに、人間がどうやってその変化に適応し、再びスムーズに動けるようになるのかを明らかにした」と発表したのは、国立精神・神経医療研究センターの研究チームです。ご存じのように、リハビリテーションなどの訓練によって、人間はその変化した身体を驚くほどうまく使いこなす例を数多く見てきました。しかし、そうした変化への適応がどのようなメカニズムで、どのような時間の経過で起こるかについては、不明な点も多く、本研究チームは、一人の患者を長時間にわたって計測することは困難であるとの判断から、ヒトとよく似た脳神経系と筋骨格構造を持つサルで再現し、筋電図などを用いてこの適応メカニズムの解明に取り組んだといいます。その結果、2段階の適応パターンを明らかにしました。すなわち、第一に短い期間に表れる「すばやい適応」では、成功はしても大きなエネルギーを要する傾向が強く、誤適応といえる側面が示されたそうです。そして、その後の「ゆっくりした適応」では、筋どうしの協調が整い、無駄な力が減って動きの質が高まり、現実的で安定した動かし方へと落ち着いたというのです。具体的には、行動として、成功率・到達時間・軌道の滑らかさなどを追跡し、第二に筋活動として、前腕、手首の主要筋から記録しどの筋がいつ、どれくらい働くかを評価したのです。本研究グループは、「早く成功すること」と「うまく楽に成功すること」は別物であると述べています。なぜなら、「すばやい適応」は誤りを繰り返すという意味で高コストになりやすく、逆にゆっくりした適応は、協調と省エネを取り戻すとも述べています。本研究グループは、「いつ、どのタイミングでこの二つの適応が反映されているのかを突き止めて、今後のリハビリテーションプログラムに反映させたい」と結んでいます。
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM

