2023.11.08
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心筋梗塞と細胞死
胸の強い痛み、締め付け感、圧迫感などの症状が継続して起こる心筋梗塞。発作と共に壊疽が始まり、心不全を引き起こします。日本人の死亡原因の第二位にあげられている病気ですが、慶應義塾大学医学部と京都大学がん免疫総合研究センターの研究グループは、心筋梗塞の“代謝変化”に注目した新しい治療アプローチを発見したと発表しました。実は、心筋梗塞は、心臓の筋肉への血流が遮断される疾患で、治療後も心筋の障害は進行しやすいのが現状だとか。しかも疾病の進行が極めて早いため、これまでは症状が起こってから“後”に行われる研究が主なものだったそうです。今回、研究チームは「生きた疾患モデルマウスを用いて、心筋の虚血再灌流障害が段階的に進む過程を、新技術の代謝分子を用いたモニタリング手法で詳細に観察したそうです。そして、この新手法で分かったことは、心筋梗塞が引き起こす有害な活性酸素の除去機能が徐々に低下するメカニズムがあるということでした。そして、この活性酸素の除去を強化する代謝経路に介入することで、虚血再灌流障害後の心筋のダメージを減少させることができたというのです。この新たな治療法は、心筋梗塞患者の生命を守り、生活の質の向上や病態からの回復をサポートする重要な選択肢として期待できると述べています。
心筋梗塞によって細胞死が進行するメカニズムを解明-治療後に起きる細胞死-フェロトーシス-を抑制する心不全治療法の開発-:[慶應義塾] (keio.ac.jp)