2024.01.12
- ニュース
「アディポネクチン」って何?
「アディポネクチン」という物質をご存じですか?脂肪細胞が産生する血中に豊富に含まれる善玉タンパクなのですが、1996年に大阪大学医学部の松澤祐次教授によって発見されました。大阪大学のHPによると、このアディポネクチンは、細胞が出すエクソソームという小胞を増やす役割があり、そのエクソソームは「生命を守る伝達物質」として注目されているのだそうです。実は、エクソソームは「中に細胞の老廃物を取り込んで細胞外へ排出したり、細胞・組織保護に関わる情報因子を他の細胞に伝達する働きを持っている」と言われています。つまり、アディポネクチンはエクソソームの産生を増やすことで、私たちの体を守り、丈夫にしているわけです。でも、脂肪細胞から分泌されると言っても、太ればアディポネクチンが増えるわけではなく、逆に分泌は少なくなるというのです。さて、前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「なぜ肥満は健康を害するか」です。日刊ゲンダイヘルスケアの記事で東邦大学名誉教授の東丸貴信氏が次のように解説していました。「肥満が進むと、体内の脂肪を蓄積する白色脂肪細胞が増加していきます。すると、脂肪細胞からアディポネクチン分泌が低下してしまう」というのです。アディポネクチンには、体に役立つ様々な役割があり、「傷ついた血管を修復してプラークの形成や動脈硬化を防ぐ作用」、「インスリンの働きを高めて糖尿病を防ぐ作用」、「中性脂肪を燃焼させてHDLコレステロールを増やす作用」、「血管を拡張して高血圧を予防する作用」など枚挙にいとまがありません。こう聞けば、肥満がいかに健康に良くないかお判りいただけると思います。加えて、肥満になれば、心臓への負担がさらに大きくなるというわけです。さらに、上述の東丸教授が指摘しているのは、肥満=過食と考えれば、肥満になる人は「中性脂肪やコレステロール、塩分、糖質を多く含む食品を過剰に摂取している」可能性が高いということです。ともあれ、「アディポネクチン」の分泌を促し、肥満にならないようにするには、良質の食事を心がけ、食事量をコントロールし、適度の運動を行うことが大切であることは言うまでもありません。言うは易し行うは難し、ではありますが。