2024.01.10
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高齢者に最適なエネルギー摂取量は?
「高齢者の歩数に応じた最適なエネルギー摂取量を解明」と発表したのは、早稲田大学スポーツ科学学術院らの研究グループです。調査では、65歳以上の高齢者4,159名を対象に、「高齢者の歩数に応じた死亡リスクが最も低くなる1日当たりの最適なエネルギー摂取量を世界で初めて報告」したとの事です。そこでわかったことは、➀ 1日当たりの歩数が4,000歩未満の者が歩数を増やすことでエネルギー摂取量が増加するが、4,000歩以上の者が歩数を増やしてもエネルギー摂取量の増加効果は見られなかった。②歩数(5,000歩/日以上)とエネルギー摂取量(男性: 2,400 kcal/日以上、女性: 1,900 kcal/日以上)のどちらも高い者が最も死亡リスクが低かったが、死亡リスクに対する歩数とエネルギー摂取量の相互作用効果は見られなかった。③高齢者の死亡リスクが最も低くなる最適なエネルギー摂取量は、歩数100歩あたりのエネルギー摂取量が35-42 kcal/日であった。因みに、エネルギー摂取量は、「食品に含まれるたんぱく質、脂質、炭水化物およびアルコールが身体の中で代謝されることで得られる利用可能なエネルギー量の合計値」だとか。ともあれ、身体活動不足は健康に悪影響を及ぼし、寿命を縮めてしまうということ、また体格は死亡リスクと密接に関係しているということが判明。従って、高齢者の体格に影響を及ぼすエネルギー摂取量と身体活動量を同時に評価し分析することが重要だと述べています。今回の研究で新たに明らかになったことは、高齢者においては身体を動かさないで食べることや身体を動かして食べないことは死亡リスクに有益な効果を示さないため、身体活動量に応じたエネルギー摂取量が高齢者の寿命を延長させるために重要な可能性が示唆されたと述べています。本研究グループは、今回の知見を活かし、健康のための身体活動量に応じた最適な栄養素摂取量を明らかにしていきたいと述べ、高齢者の場合、歩数100歩あたり35-42kcal/日がその目安であり、一人ひとりの歩数から食事量の目安を計算できるようになった点に注目していただきたいと結んでいます。