港区立高輪いきいきプラザ

2025.09.03

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蚊の唾液がウイルス感染を手助け

順天堂大学大学院医学研究科ウイルス学及び大阪大学、北海道大学、国立健康危機管理研究機構、タイ王国マヒドン大学との共同研究により、「蚊の唾液に含まれている『トール様受容体』がデングウイルスや日本脳炎ウイルスのような蚊媒介性フラビウイルスの病原性を増強する役割があることを明らかにした」と発表しました。私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物をすばやく察知して反応する「自然免疫」という仕組みがあります。その中心で働くのが「トール様受容体2(TLR2)」というセンサーのようなたんぱく質で、細菌の膜成分などを見つけて免疫のスイッチを入れます。この働きにより、免疫細胞が集まり、炎症反応が起こるそうです。ただ、TLR2の反応が強すぎると、かえって病気が悪化する場合もあるとのことです。さて、本題に戻ると、本研究では、蚊が人を刺すときに注入する「唾液」に注目。「蚊の唾液には、血が固まらないようにしたり、かゆみや痛みを感じにくくしたりする成分が含まれており、蚊がうまく血を吸うために必要なものですが、最近の研究で、この唾液がウイルスの感染を手助けしている可能性があることがわかってきた」と言います。つまり、蚊の唾液が、ウイルスが人の体に入りやすくなる“仕掛け”になっているかもしれないと考えて研究を行なったそうです。具体的には、蚊の唾液に含まれる「免疫を刺激する物質」、つまりTLR2(トール様受容体2)という体の免疫センサーを刺激する物質が含まれていて、それが感染した場所に免疫細胞を集めることで、ウイルスが広がりやすくなることが分かったそうです。本研究で明らかになった点は以下の通りです。①蚊の唾液に蚊媒介性フラビウイルスの感染を増強する成分があることを動物モデルで証明 ②特に蚊の唾液に含まれてTLR2リガンドが蚊媒介性フラビウイルスの感染を増強することを発見 ③蚊の唾液に含まれるTLR2リガンドは、感染や炎症が起こるとすぐに血管から飛び出して病原体を取り込む「好中球」を活性化し、様々な液性因子を放出し、効率の良いウイルス感染を成立させていることを明らかにした。④感染部位のTLR2阻害剤の投与は、蚊媒介性フラビウイルスの病原性を著しく低下させることを示し、新規の創薬標的を見出した。本研究グループは、「この発見は、単にウイルスの仕組みを明らかにしただけではありません。将来的には、蚊の唾液の働きを抑えることで感染を防ぐ、新しい治療薬やワクチンの開発につながる可能性があります」と結んでいます。

「蚊の唾液がウイルス感染を助ける!!」|ニュース&イベント|順天堂大学

 画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

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