港区立高輪いきいきプラザ

2025.09.03

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セミの大合唱とAI及び音響シミュレーション技術

AIと音響シミュレーション技術を組み合わせた手法で、セミ類の複雑な合唱からセミの種類を自動識別する技術を開発した」と発表したのは、国立環境研究所生物多様性領域の研究グループです。茨城県つくば市で一般的に見られる5種類のセミ(アブラゼミ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシ)を対象に鳴き声識別AIの開発を行ったと述べています。ただ、セミ類は多種多個体が同時に複雑な合唱を行い、さらに野外録音では鳥の鳴き声や自動車の走行音なども含まれるため、本研究では、音響シミュレーションで生成した合唱データを用いてAIを訓練し、複雑な音響環境下でもセミ類の鳴き声の自動識別を実現したといいます。具体的には、コンピューター上で数千パターンの仮想合唱を生成し、これを用いてAIを訓練する手法により、少数の教師データ(機械学習モデルなどの学習に用いるデータ)から高精度な種識別を実現したそうです。この技術はセミ類だけでなく、コオロギ類やカエル類など合唱する生物全般に応用可能で、生物多様性モニタリングの効率化が期待されると述べています。本研究グループは、「セミ類の鳴き声には明確な季節変化と一日の中での時間的パターンがあることが確認された」と述べ、そして、「今後は気候変動によるセミ類の活動時期の変化を継続的に観測することや、セミ類の詳細な行動研究への応用が期待される」と結んでいます。

セミの大合唱から個別種を識別するAIを開発 —AIと音響シミュレーションで生物多様性モニタリングを効率化—|2025年度|国立環境研究所

SM

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