2025.08.29
- ニュース
相手に共感するときの神経メカニズムを解明
「マウスの社会行動中に活性化する島皮質のパルブアルブミン陽性神経細胞が、他者への馴染みと共感行動を制御するスイッチであることを世界で初めて明らかにした」と発表したのは神戸大学大学院医学研究科らの研究グループです。この「島皮質のパルブアルブミン陽性神経細胞」とはどんなものなのでしょうか。当プレスリリースによると、「脳内に存在する抑制性の介在神経の一種で、カルシウム結合タンパク質であるパルブアルブミンを発現している神経細胞」なのだそうです。で、この細胞の働きを抑制すると、他のマウスに対する馴染みと、ストレスを受けた他者への関わりが減少することを実験で証明したと述べています。因みに、島皮質とは、「大脳皮質の領域で、味覚、嗅覚、触覚、痛覚などの感覚に加え、報酬、社会的な痛み、社会的情動、共感、内臓覚や自己意識まで関係している」そうです。本研究グループは、「本研究の成果は、ヒトの『共感性』や『社会的判断』を支える脳のしくみを理解する上で重要な一歩となります。ASDや統合失調症など社会性に困難を抱える障害では、島皮質の機能異常とパルブアルブミン陽性細胞の変化が関わっていることが考えられ、それらの細胞の役割と治療標的としての可能性が注目されます」と結んでいます。
SM