「免疫グロブリン」という言葉を聞いたことがありますか?これは、異物が体内に入った時に排除するように働く「抗体」の機能を持つタンパク質のことです。病原体の働きを止める大きな役割を担っています。全部で5種類あり(IgG,IgA,IgM,IgD,IgF)、それぞれに異なる役割を持っています。免疫グロブリンは、脊椎動物の免疫系によって作られ、ウイルスや細菌などの病原体を特異的に認識し、中和・排除する働きを担っていますが、実は薬としても使われていて、それは「免疫グロブリン製剤」と呼びます。これはヒトの血液中にある免疫グロブリンを薬にしたもの。感染に対して効果的なさまざまな抗体が含まれており、「体内で病原菌やウイルスと結合し、細胞内に侵入して増殖するのを防いでくれる効果があるため、さまざまな感染症や免疫に関する病気の治療薬として使用されている」とのことです。さて、本題ですが、国⽴研究開発法⼈産業技術総合研究所及び北海道⼤学及び筑波⼤学の共同研究グループは、「免疫グロブリンAを安価で簡便に精製できる技術を開発した」と発表しました。今まで、IgAの純度を⾼めるために⾏われる「精製」⼯程はコストがネックになっていましたが、今回の開発では安価な無機材料であるジルコニア粒⼦を⽤いた免疫グロブリンA(IgA)の精製⽅法を実現したと述べています。本研究グループは、「IgA医薬品の研究開発や実⽤化を加速させ、感染症の予防やパンデミック対策に貢献することが期待される」と結んでいます。因みに、血液から作られている免疫グロブリン製剤は、ウイルスなどに感染する可能性が全くないとは言えないので、薬の製造過程で、ウイルスの働きを失わせる液状化熱処理や酸性処理、ウイルスを取り除くためのウイルス除去膜処理などの安全対策を行っているとか。そのため、そのように製造されている免疫グロブリン製剤は、薬が原因と判断されたウイルス感染の報告はないそうです。
免疫グロブリンAを安価で簡便に精製できる技術を開発 免疫グロブリンAの医薬品開発の促進に貢献 | テクノロジー・材料 - TSUKUBA JOURNAL
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM
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