港区立高輪いきいきプラザ

2025.08.06

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加齢黄斑変性治療にメッセンジャーRNAワクチン

加齢によって誰にでも起こりうると言われている目の病気、加齢黄斑変性。網膜の中央の黄斑が老化することで、視力が低下したり、物が歪んで見えたりするとか。そして、最終的に失明に至る病気です。「本疾患の進行には、血管の増殖や炎症を引き起こす分子であるLRG1leucine-rich alpha-2-glycoprotein 1)が深く関与している」と訴えるのは、東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院 難治疾患研究所 先端ナノ医工学分野らの研究グループですが、「網膜で異常に産生される分子LRG1に対し、メッセンジャーRNA mRNA)ワクチンにより抗体を誘導し、その機能を抑制することで病態の進行を抑えることができた」と発表しました。つまり、メッセンジャーRNA mRNA)ワクチンを用いた新たな治療法により、加齢黄斑変性をマウスモデルで抑制することに成功したというわけです。具体的には、「LRG1を標的としたmRNAワクチンを加齢黄斑変性のモデルマウスに接種したところ、LRG1に対する抗体が産生され、その作用が抑制された結果、加齢黄斑変性の進行が抑えられた」と述べています。加えて、本研究グループは、「今後は実用化に向けて大動物を用いた効果や安全性の検証が必要であり、現在、その準備が進められています。また、病気の原因となる分子を標的とする抗体をmRNAワクチンによって誘導する今回の戦略は、生活習慣病をはじめとする多様な疾患への応用も可能であり、より患者負担の少ない治療の実現につながる可能性があります」と結んでいます。補足ですが、この病気、高齢化の進行に伴い、患者数は増加の一途をたどっているとか。さらに、「この疾患は生活の質(QOL)を著しく低下させ、その影響の大きさは、要介助状態をもたらす脳梗塞や大腿骨頚部骨折にも匹敵するとされている」と、本研究の意義を強調しています。因みに、メッセンジャーRNAmRNA)ワクチンですが、「病原体の一部をコードするメッセンジャーRNAmRNA)を体内に投与し、細胞にそのタンパク質を作らせて免疫反応を誘導するワクチン」で、新型コロナウイルス感染症の予防で広く使われたことは皆さんご存じのとおりです。

mRNAワクチンで進行性の眼の病気を治療 | Science Tokyo - 東京科学大学

画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

 

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