港区立高輪いきいきプラザ

2025.07.23

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絶食と腸内細菌

「絶食中に腸内細菌が代謝可能な糖質を摂取することで、腸内細菌叢を短時間で選択的に再構築する新たな食事介入法を開発した」と発表したのは、北里大学および慶應義塾大学の研究グループです。腸内細菌叢の構成は、日々の食事に含まれる栄養素の影響を強く受けているのはご存じの通り。一方で、「特定の腸内細菌を狙って短期間で選択的に増殖させるといった意図的な食事介入は、(中略)これまで実現が困難とされてきた」とか。なぜなら、「腸内では、細菌同士が宿主由来の栄養素や代謝産物をめぐって複雑な相互作用を行っており、こうしたネットワークによって腸内細菌群集は高い安定性を保っている」からです。本研究では、この恒常性の壁を一時的に解除する手段として絶食を導入し、その状態で腸内細菌が利用可能な糖質(MACs)を摂取させることで、特定の菌が優位に増殖する環境を人為的に構築することに成功したと述べています。因みに、糖質(MACs)とは、ヒトの消化酵素では分解されず、腸内細菌によってのみ代謝される糖質であり、代表的なものに食物繊維やオリゴ糖があると述べています。本研究では、マウスを用いた実験で、絶食中に糖質(MACs)を摂取させることで、「腸内細菌叢の構成が1日で大きく変化することを確認した」といいます。つまり、特定腸内菌の選択的な増殖や、腸粘膜の主要な免疫抗体として感染防御に重要な役割を果たすIgAの増加といった効果を確認したということです。本研究グループは、「今後さらに臨床的検証や実用化に向けた研究が必要である」と結んでいます。

 絶食と腸内細菌利用糖の併用により腸内環境を短時間で再構築 ―特定腸内菌を選択的に増殖させる精密な食事介入戦略―|学校法人北里研究所

 画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

 

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