港区立高輪いきいきプラザ

2025.07.23

  • ニュース

環境中のナノ粒子から脳を守る「防御システム」を解明

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所疾病研究第二部及び東京大学大学院薬学系研究科らの共同研究グループは、 「大気中の微小粒子『PM2.5』に含まれるナノサイズの人工物質がマウスの脳に侵入した際(主に視床・視床下部に蓄積)、複数の脳細胞がそれを感知し協調して処理し、脳を守る防御システムが存在することを世界で初めて発見した」と発表しました。脳の中に常在する免疫細胞で、異物や老廃物を感知して取り込み、分解する「脳の掃除屋」として働く 「マイクログリア」が、ナノ粒子を貪食し、侵入ナノ粒子を優先的に取り込むことを解明したというのです。つまり、細胞が連携し、「取り込む」メカニズムを明らかにしたという訳です。本研究によると、「環境中に広く存在する非生物由来のナノ粒子(シリカやポリスチレンなど)が、発達期の脳に侵入したときに、脳内でどのような反応が起こるのかを明らかにし、実際ナノ粒子はすでにヒトの脳内でも検出された例があり、多くは呼吸によって体内に入り、血液を通して脳に届くと考えられている」とのことです。ご存じのように、近年、世界的に大気汚染が深刻化しており、その主要な原因である黄砂やマイクロプラスチックなどに含まれる微小粒子(PM2.5)が、健康に悪影響を及ぼすことが社会的な問題となっていますが、最近の研究では、これらのナノ粒子が最終的に脳にまで到達することが明らかになっていて、脳に蓄積したナノ粒子は、神経の炎症、記憶力や学習力の低下、不安や気分の異常など、さまざまな神経・精神の不調に関わっている可能性が指摘されています。ところが、脳がこうした非生物由来のナノ粒子に対して、どのように自らを守っているのか(その防御システム)や、そのメカニズムについては、詳しくわかっていなかったそうです。今回行われた研究によって、「脳内の血管、血管近傍のアストロサイト、脳内免疫細胞であるマイクログリアが連携し、毒性のあるナノ粒子を効率的に除去する働きを持つこと。そして、この防御機能が働かないと、神経細胞の死や、不安のような行動異常が悪化することをマウスで確認した」と述べています。脳の防御システムとしての役割を証明した画期的な研究ではないでしょうか。

 世界初 環境中のナノ粒子から脳を守る「防御システム」を解明 ~微小粒子が引き起こす脳の神経毒性に対する保護メカニズムをマウスで発見~ | 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター National Center of Neurology and Psychiatry

画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

一覧へ戻る

カテゴリ
年月で絞り込む