2025.07.11
- ニュース
磁石で神経回路を再構築?
パーキンソン病などの神経疾患の治療のために「磁石で脳細胞を誘導し失われた神経回路を再構築する」と発表したのは、京都大学大学院医学研究科らの研究グループです。当プレスリリースによると、パーキンソン病は「中脳異質にあるドパミン作動性神経細胞が徐々に変性し、線条体へとつながる異質線条体系路が損なわれて発症する」そうです。問題は、成人の脳の中で移植した細胞の軸索を目的のところまで長く伸ばすことが難しいとのことです。因みに、軸索とは、神経細胞の出力の場ともいうべき所で、他の神経細胞や筋肉、腺などへの情報を伝える役目を持っています。少し脱線しますが、軸索変性とは、「電線にあたる神経線維が脱線してしまう状態のこと。一方、「脱髄」は、神経線維を覆っている髄鞘が変性・脱落してしまうことです。この場合も、神経の信号伝達が阻害されるのです。さて、本題に戻りますが、本研究ではこの問題になっている中脳異質領域に「磁性ナノ粒子を取り込んだヒト神経上皮幹細胞を移植し、磁場をかけるとその方向に軸索が延びるように誘導することができたと述べています。加えて、長期にわたってこのような機械的な力を与えても、細胞の生存率や組織の安全性には影響がないことも確認できたそうです。本研究グループは、この研究成果は「神経変性疾患に対する再生医療研究において大きな前進である」と結んでいます。
磁石で脳細胞を誘導し失われた神経回路を再構築する|ニュース|ニュース・イベント|CiRA(サイラ) | 京都大学 iPS細胞研究所
画像はプレスリリースから引用させていただきました。
SM