2025.07.02
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楽器演奏と認知機能の向上
京都⼤学⼤学院総合⽣存学館らの研究グループは、2020年に「健常高齢者が初心者として4か月の楽器練習に取り組むことで認知・脳機能が向上した」という研究結果を発表していましたが、今回行った研究では、最初の介入研究終了から3年以上経過した時点でこれらの参加者を再招集し、楽器練習を継続していた継続群と他の趣味に移行した中止群を比較したそうです。その結果、「4年前に比べて中止群ではワーキングメモリ成績が低下し、被殻という脳部位が萎縮し、小脳機能の低下なども起きていたのに対して、継続群ではそのような低下・萎縮が見られなかった」といいます。これほど長期にわたって高齢期の楽器練習の効果を調べた実証研究は、本研究が初めてだとか。ご存じのように、⾼齢期には記憶などの認知機能が低下しがちです。⾼齢期の認知機能維持にとって、楽器練習は有望な趣味であるということが実証されました。因みに、2020年には鍵盤ハーモニカを使⽤し、今回も鍵盤ハーモニカでしたが、コロナ禍の時期からは電⼦ミニピアノを使⽤したそうです。本研究は、他の楽器でも同様の効果となるのかは不明であると述べ、また再度の参加依頼に応じてくれた参加者が少なく、より⼤⼈数の研究でも検証されることが望ましいとも述べています。本研究グループは、楽器演奏は、「社会的交流」の側⾯と、「認知訓練」としての側⾯があり、どちらの効果による結果なのかはこの研究からは分からないと語っています。ただ、それらを含んだプログラムとしての「楽器練習の効果が⻑期的に⽰されたことは、実践的な意義が⼤きい」と結んでいます。
継続は力:高齢期に始めた楽器練習の効果―4年の追跡研究で見えた脳・認知機能維持― | 京都大学
画像はプレスリリースから引用させて頂きました。
SM