港区立高輪いきいきプラザ

2025.06.30

  • ニュース

レム睡眠中に活動する神経細胞の正体は?

人の睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、それらが交互に現れると言われていますが、そのサイクルはおよそ90分だとか。ただ、このサイクルは個人差があるようで、体質や年齢や生活環境によって様々だそうです。このうち、レム睡眠は脳が活発に働いており、鮮明な夢を見やすい睡眠段階として知られていますが、高齢者の中には、このレム睡眠の割合が少ない人がいて、実は、認知症や心不全のリスクが高まるというのです。加えて、夢の内容を現実の動作に反映してしまう「レム睡眠行動障害」が、パーキンソン病の前ぶれとして現れることもあるとか。さらに、パーキンソン病が進行するとレム睡眠そのものが失われるケースもあるようです。しかしながら、レム睡眠の仕組みや役割についてはその多くが未解明であると言われています。さて、本題です。「レム睡眠(夢をよく見る睡眠)の開始直前から終了まで、ずっと活動し続ける神経細胞(ニューロン)の正体を明らかにした」と発表したのは、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻らの研究グループです。このようなニューロンは「レム-onニューロン」として数十年前から知られていたそうですが、具体的にどの細胞なのか、どのような役割を担うかは謎であったと言われています。レム睡眠の維持に重要な役割を持つ「CRHBP陽性ニューロン」がレム-onニューロンに該当することを、マウスの脳内での電気活動の記録によって解明したと述べています。因みに、「この細胞の活動を高めるとレム睡眠が増える一方で、これらの細胞が失われるとレム睡眠の減少や、夢の中の行動を実際に体が再現してしまうレム睡眠行動障害が起こること」がすでに分かっていて、正常なレム睡眠を保つうえで非常に重要な細胞であるそうです。ともあれ、レム睡眠のスイッチとして働く脳の細胞を明らかにした本研究は、「パーキンソン病などレム睡眠の異常を伴う疾患の理解にもつながる」と期待を寄せています。今回の研究成果によって、レム睡眠の仕組みをより深く理解するための道が開かれ、将来的にはレム睡眠の異常が関わる病気の予防や治療にもつながるだろうと結んでいます。

Press Releases - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部

画像はプレスリリースから引用させて頂きました。

SM

 

一覧へ戻る

カテゴリ
年月で絞り込む