港区立高輪いきいきプラザ

2025.06.11

  • ニュース

認知機能低下とアルツハイマー病とでは認知特性が異なる

高齢者の認知機能低下とアルツハイマー病とでは認知特性が異なるそうです。慶應義塾大学医学部内科学教室及び同百寿総合研究センターらの研究グループは、「百寿者を対象とした共同研究によって、加齢にともなう認知機能低下とアルツハイマー病との臨床学的な相違点を明らかにした」と発表しました。加えて、「アルツハイマー病でアミロイド蓄積に関連するアポE遺伝子が主要なリスクとして知られていた事に対して、加齢にともなう認知機能低下ではシナプス(神経細胞同士のつながり)の維持に関わる遺伝子が関連していることも発見した」と述べています。ご存じのように、アルツハイマー病とは、アミロイドベータ(β)が重なり合って脳の神経細胞のまわりに溜まることで細胞死を引き起こすと言われていますが、遺伝学的にアポE遺伝子の型がアルツハイマー病になる確率に強く影響することも知られているそうです。ただ、世界中の4,427人の 約100歳の方を対象とした調査では、男性の58%、女性の65%が認知機能に何らかの障害を有していましたが、重度の認知機能障害に分類される方は百寿者では4分の1にとどまっていました。そこで、本研究では、1,017名の百寿者を対象に訪問調査を行い、そのうち研究条件を満たした638名の百寿者の認知機能を検討したとか。この試みは、「百寿者とアルツハイマー病患者との間で認知機能を臨床学的に比較し、遺伝学的に解析した初めての研究」だったそうです。その結果、アルツハイマー病の患者が苦手とするミニメンタルステート検査での「3段階指示の実行機能」が、百寿者では保たれていることを発見し、さらに、ゲノムワイド関連解析により、この百寿者の認知機能の特性には、シナプスの維持にとって重要なPTPRT遺伝子が関わっていることを明らかにしたと述べています。本研究グループは、「今回の発見が、加齢にともなう認知機能低下をくい止めたり、予防したりするための治療に将来的につながるだろう」と結んでいます。

 

超高齢期における認知機能低下とアルツハイマー病で異なる認知特性を発見-大規模な百寿者の全ゲノム関連解析でわかった分子メカニズムの違い-:[慶應義塾]

 画像はプレスリリースから引用させていただきました。

SM

 

 

一覧へ戻る

カテゴリ
年月で絞り込む