港区立高輪いきいきプラザ

2023.12.27

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ノロウイルス動物由来モデル

琉球大学、仙台大学、宮城県立がんセンターの研究チームは、「食用牡蠣(カキ)による食中毒は毎年発生するが、カキの蓄積するノロウイルスが何に由来するのかは不明瞭な部分があった」という理由から、「三陸沿岸のカキ出荷のシーズンに合わせて、環境DNA解析による網羅的な動物相の分析を行い、食用カキからノロウイルスが検出された時期と、動物種の出現パターンの相互相関を解析」したところ、「食用カキでのノロウイルスの検出は、カモ類、ハクチョウ類の飛来と同調して起きていることを発見した」そうです。具体的には、カモ類、ハクチョウ類、カラスなど6種の鳥類(オナガガモ、ヨシガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ハシボソガラス、ハクチョウ)と、1種の哺乳類(イエネコ)だったとか。また、ノロウイルス検出と動物の間の相互相関関係について、様々な異なる視点を導入してさらに検討したところ、カキからのノロウイルスの検出は、天候や雨などの環境因子によっても影響を受ける可能性があるとのことです。実際に、気象庁データベースから取得した雨量(mm)とカキからのノロウイルス検出との間には、有意な相互相関が見出されましたとも述べています。上記の結果をまとめると、カモ類、ハクチョウ類という渡り鳥が三陸沿岸に飛来してから約1ヶ月後に、三陸沿岸で水揚げされる食用カキの一部からノロウイルスが検出されるという現象が指摘できること。季節性の渡り鳥がノロウイルスの自然宿主であり、それらが排出した糞尿を介してノロウイルスが沿岸海水に混入し、食用カキの一部に蓄積されるという「ノロウイルス動物由来モデル」が推定できるとのことです。このモデルをより直接的に証明するためには、今回ノロウイルスとの関与が疑われた鳥類の腸管や糞便から、直接ノロウイルスを検出することが次の課題となるそうです。今回の研究で、環境DNA分析による動物相の解析という網羅的な手法を活用したことから、ノロウイルスの自然宿主の有力な候補として鳥類の種を推定し絞り込むことが出来たとも述べています。因みに、ノロウイルスは小児だけでなく成人も発症する感染性胃腸炎および感染性下痢の原因としてもっとも一般的なウイルスです。

 

カキ食中毒の原因となるノロウイルスが鳥類に由来する可能性 ― 環境DNAによる生態疫学解析から | 琉球大学 (u-ryukyu.ac.jp)

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