2023.12.06
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認知症リスクを抑制するウェルビーイング
認知症の発症原因は、多くの研究から、加齢、健康状態、社会経済的状態、そしてライフスタイルと関連していることはわかっていましたが、近年注目されている要因の一つに「心理的ウェルビーイング」、つまり人生の目的など人生全般にわたるポジティブな心理的機能があるようです。順天堂大学大学院医学研究会公衆衛生学らの研究グループは、全国14万人の地域住民を対象に20年以上にわたる多目的コホート研究を実施。その調査の解析結果によると、「生活を楽しんでいる意識が低い人と比較して、中程度の人では25%、高い人では32%、認知症のリスクが低いことがあきらかになったそうです。加えて、自覚的ストレスが少ない及びふつうのグループでは、生活を楽しんでいる意識が低い人と比較して、認知症リスクが低いという結果になったとか。もちろん、生活を楽しんでいるという意識を客観的に数値化することは困難であり、「心理的ウェルビーイング」を大まかに把握するものにとどまるため、今後さらなる研究が必要であると述べています。ともあれ、「病いは気から」「百病は気から起こる」などのことわざに偽りはないようです。因みに、以前大阪大学科学技術振興機構が発表した内容によると、この「病いは気から」の根拠を実験的に証明しているようです。詳細は割愛しますが、ストレスが免疫力を低下させるという仮説に立ち、「交感神経が免疫に及ぼす影響とメカニズム」を明らかにしています。本研究では、「交感神経による免疫制御に関わる分子を標的として、ストレス応答を人為的にコントロールするという新しいコンセプトに基づいた病気の予防、治療法の開発につながる」と述べています。