2024.10.15
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聴力の話(3)・・・補聴器の最新技術
引き続き聴力に関する記載です。「NHKきょうの健康」で補聴器の最新技術の放送回がありました。これもかなり興味深い内容でしたので紹介します。
加齢性難聴 最新技術でここまで改善 「進歩する補聴器 最新情報」 - きょうの健康 - NHK
補聴器を使用する場合の手順については、以下の流れで進めるようにとのことです。
・補聴器は厚生労働省が認定している医療機器であり、まずは耳鼻咽喉科を受診して検査をする。
・そこで加齢性難聴と診断された場合は医師から補聴器のアドバイスがもらえる。
・補聴器について相談したい、知りたい場合は、「補聴器相談医の資格(補聴器の専門的な知識を習得した医師)」を持った医師のいる医療機関を受診する。
・補聴器相談医から適切な指導をもらえる。そこで補聴器での治療が必要となった場合は、「認定補聴器技能者の資格」を持った人販売店を紹介してくれる。
・認定補聴器技能者は、その人の”聞こえ”に合わせて調整してくれる。
医療的側面は上のような事になりますが、筆者はこの放送を見て補聴器の技術的側面に関心を持ちました。現在の補聴器はほとんどデジタル化されていて、高性能のパソコンが内蔵されているようなものということです。さらに最新の補聴器には人工知能(AI)が搭載されているという事です。小さな筐体の中にプロセッサー(CPU)や多量の学習データが格納されている訳です。放送では、実際に補聴器を通して聞こえる音をスピーカーから流してAI機能の効果を説明してくれていました。
ざわざわしたノイズや扇風機の風のノイズの中で「指向性機能」をONにすると、正面から発せられた音(声)が非常に聞こえ易くなりました。ただこの機能だけだと、横や後ろから発せられた音(声)は聞き取り難いままです。ここで「360度機能」をONにすると、横や後ろからの声についても聞こえやすいようになりました。AIがノイズだけを抑制し、聴きやすい声を作り出してくれるという説明でした。
人の声の周波数は100Hz~1KHzと言われていますが、この周波数の範囲外の音波を抑制するだけという単純な処理ではなく、同じ周波数帯でも人の声かそうでないかを、内臓されている数多くの学習データを元に計算して必要な(と思われる)音のみを強調するというような処理を行っていると思われます。
またさらに最新のAI補聴器の中では、各個人が「こういう場面(オフィスで仕事中/居酒屋で会食中/家でくつろぎ中・・・等)ではこういう”聞こえ方”にしたい」というような設定を登録でき、そして補聴器が「今はこういう場面である」という事を自動的に認識し、”聞こえ”を調整してくれるという事です。
さらに言えば、聞こえなくてはならない遮断機の音やサイレン音など、声ではないがノイズではない音はしっかり聞こえないとなりません。この辺りの調整も当然組み込んである事と思います。
人間の弱い部分、弱ってくる部分を丁寧に補完してくれる技術というのは実に素晴らしいと思いました。
高輪いきいきプラザ H.H.