港区立高輪いきいきプラザ

2024.06.19

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胃酸抑制薬と胃がん

胃酸を抑える薬と胃がんの関連を、「1,000 万人以上の大規模レセプトデータから抽出した 54,000人あまりのピロリ菌除菌後の患者集団の解析を行い」、調査研究した結果「過度の胃酸抑制は胃癌発生を助長する」と発表したのは、東京大学 医学部附属病院 消化器内科らの研究グループです。因みに、胃酸を抑える薬は、大きく3タイプあり、一つ目はカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(タケキャップなど) 。二つ目は、 ヒスタミン H2 受容体拮抗薬(シメチジン、タガメットなど)。そして三つ目は、プロトンポンプ阻害薬(オメプラール、パリエット、ネキシウムなど)です。 この最後のタイプは、「胃壁細胞のプロトンポンプの SH 基に不可逆的に結合して、プロトンポンプの酵素活性を阻害し、胃酸分泌を強力に抑える薬剤」だそうです。で、本題ですが、今回の大規模レセプトデータを用いた調査結果によって分かったことは概ね次のような事でした。①PCAB 内服は PPI 内 服と同様にピロリ菌除菌後の胃癌発生リスクを上昇させる可能性が考えられる。また、ピロリ菌除菌後に発生する胃癌と酸分泌抑制薬、特にプロトンポンプ阻害薬との関連の報告が散見。同様の傾向が新たな酸分泌抑制薬であるカリウムイオン 競合型アシッドブロッカーでも認められたということです。国内でPCAB 服用患者は増加傾向のようです。また、近年欧米諸国でも PCAB が逆流性食道炎諸症状に対して使用されはじめており、PCAB を長期処方される患者は世界中でさらに増加することが予想されるとのことです。 今後、PCAB の長期使用のリスクに関して、国際的なより大規模の検討がなされることが期待される、と述べています。

release_20240215.pdf (u-tokyo.ac.jp)

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