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2024.06.19

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骨粗鬆症治療薬のための新規遺伝子の発見

 東京理科大学薬学部生命創薬科学科らの研究グループは、「骨粗鬆症治療薬の新たな創薬ターゲットとなり得る新規遺伝子Gprc5aを発見した」と発表しました。当プレスリリースによると、「既存の骨粗鬆症薬であるテリパラチドが副甲状腺ホルモン(PTH)由来であることを踏まえ、PTHシグナル伝達の下流で作用し、骨形成に関する可能性のある遺伝子のスクリーニングを行い、オーファンGタンパク質共役型受容体をコードする新規遺伝子 Gprc5aを見出した」ということです。因みに、Gprc5aは、骨芽細胞の増殖と分化を抑制するはたらきを持っているそうです。ともあれ、こうした研究の背景として、高齢化に伴う骨粗鬆症の罹患率の増加があります。「骨粗鬆症は骨量の減少や骨質の低下に伴う骨強度の低下により、骨が脆弱になることで骨折を引き起こす病気」ですが、高齢者に広く見られる病気で、日本では、1280万⼈、つまり国民の10人に1人が、骨粗鬆症にかかっていると推測されている、と本研究グループは述べています。つまり、骨粗鬆症の予防と治療は重要な課題の一つなのです。本研究を主導した早田教授は、「生命薬科学の研究者として、なぜ、体内では骨を吸収するホルモンが、外から投与されると、骨形成作用を示すのかは長年不思議に思っていました。そこで、骨芽細胞に着目し、そのメカニズムを解明したいというのが動機でした。今回、Gprc5aがテリパラチドによって誘導される遺伝子であるにも関わらず、骨形成を抑制するという真逆の作用を持つということがわかり、生命現象には、人間の予想をはるかに超える複雑なしくみがあるのだなと実感しました。将来、わたしたちの研究成果が、骨粗鬆症を患っている方々の生活の質の改善、そして健康長寿につながれば幸いです」とコメントしています。

骨粗鬆症治療薬の新規ターゲット遺伝子を発見~副甲状腺ホルモンを介した薬理作用の一端を解明~|東京理科大学 (tus.ac.jp)

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