2024.06.12
- ニュース
表情がもたらす顔色の記憶とは
「記憶色効果」という言葉の意味をご存じですか?これは、「特定の物体に関する典型的な色の知識、つまり記憶色が実際の色の認識に影響を与える現象のこと」なのだそうです。さて、本題ですが、豊橋技術科学大学の研究チームは、「怒り顔や恐怖顔は中立顔よりも記憶色効果によって受ける色認識への影響が大きく、記憶色が表情によって異なることが分かった」と発表しました。私たちが日ごろ使う言葉の「顔色をうかがう」は、顔色でその人の感情を読み取ろうとする行為です。ただ、たとえ同じ顔つきでも、赤っぽい顔色の方が怒り顔としてとらえやすいということはないのでしょうか。このあたりの顔色による表情判断については、これまでよくわかっていなかったといいます。そこで本研究チームは、記憶色によって色の認識が変化する現象に着目。表情や顔色の異なる顔画像を使って心理的物理実験を行いました、具体的には、「怒り顔」「中立顔」「恐怖顔」の三つの表情画像を使用。「典型色」と「反対色」の二つの選択肢から選ぶようにして実験したところ、無彩色な状態の怒り顔や恐怖顔が、無彩色な中立顔よりも赤黄色に色付いて見られやすいことが分かったそうです。これは、表情が記憶する顔色をかたよらせ、想起する顔色が実際に目にした時よりも赤黄色に見えたということを意味しています。本研究グループは、「表情が顔に対する記憶色のレベルにまで影響を与えることを初めて明らかにした」と述べ、「なぜ表情によって記憶する顔色が異なるのかの仕組みをより深く解明したい」と結んでいます。
表情が与える顔色記憶への影響 ~記憶色効果の大きさが、表情によって異なる~ | 豊橋技術科学大学 (tut.ac.jp)