港区立高輪いきいきプラザ

2024.06.07

  • 活動報告

バクテリアのサバイバル戦略

産業技術総合研究所らの研究グループは、国内天然ガス田に由来する地下堆積物と地層水から、新規なバクテリア(IA91株と命名)の培養に成功し、エネルギー源の乏しい極限環境下で生き抜く巧妙な省エネ生存戦略を明らかにしたそうです。このバクテリアIA91株は、世界中の海洋や酸素の無い環境に広く生息する”Marine Group A”と呼ばれるグループに属しているとか。本研究グループは約4年の歳月を費やし、世界で初めてこのグループのバクテリアの純粋分離に成功したと発表しました。さらに、このバクテリアは、「細胞の生存に直結する重要な細胞構成成分である細胞壁の合成を他のバクテリアに委ねることで、細胞の構築に必要なエネルギーを大幅に削減する生態」であることを突き止めたそうです。この新たなエネルギー節約術は、Marine Group Aの共通の祖先にも備わっていたと推定され、エネルギー源の乏しい無酸素環境で生命を維持するのに有効な性質であることが示唆される、と述べています。一般的にバクテリアは細胞の形状を維持する細胞壁を有するそうです。増殖するためにエネルギーを消費して細胞壁を新たに合成するとともに、細胞壁の一部を分解し、再利用します。IA91株は、他のバクテリアが再利用するMP(2つの糖に4つのアミノ酸が結合した物質)を取り込んで自分自身の細胞壁の合成に利用しているようです。そのことで、細胞壁合成にかかるエネルギーの消費を大幅に削減できるが、そうした供給がなければ細胞壁を合成できないため、死に至るということです。

無酸素環境で生きるバクテリアの未知なるサバイバル戦略 | JAMSTEC | 海洋研究開発機構 | ジャムステック

 

 

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