2024.06.07
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パーキンソン病やレビー小体型認知症、生体脳で可視化
「パーキンソン病やレビー小体型認知症の中核をなすαシヌクレイン病変を検出するPET薬剤(18F-C05-05)を開発し、患者の生体脳で可視化することに世界で初めて成功した」と発表したのは、量子科学技術研究開発機構(以下「QST」) 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究センターです。PETで捉えたαシヌクレイン沈着量が運動症状の重症度と関連したことから、本PET薬剤は病気の進行度の客観的評価に利用でき、治療薬の効果判定に有用な可能性があると述べています。パーキンソン病やレビー小体型認知症は、αシヌクレインというたんぱく質が増加し、神経細胞死を引き起こすことで知られています。パーキンソン病は、根本治療薬のない進行性の脳の病気のうちアルツハイマー病に次いで多いにもかかわらず、αシヌクレイン病変を生体脳で可視化する技術は未確立だったそうです。本研究では、アルツハイマー病の原因となりうるタウたんぱく質を世界に先駆けて画像化するなど、異常たんぱく質の沈着を生体脳で可視化する技術の開発に取り組んできたと言います。本研究では、「αシヌクレイン病変に強く結合する別のPET用薬剤として18F-C05-05を開発し、パーキンソン病やレビー小体型認知症のモデルとなるαシヌクレイン病態伝播マウスおよびマーモセットで、病変を画像化できることを明らかにした」と述べています。今回新たに開発された18F-C05-05は、治療薬開発時の効果判定にも有用な可能性があり、「非臨床と臨床をつなぐ橋渡し研究に利用でき、病態解明や治療薬開発を促進することが期待される」と結んでいます。