「私たちの脳で処理される情報の多くは視覚からもたらされますが、逆に錯視のような視覚現象の多くは目ではなく脳で生じます。私たちの脳が見たものをどのように解釈して、知覚される『現実』を作り上げているかについて興味深い発見があった」と発表したのは、九州大学大学院芸術工学研究院らの研究グループです。脳は過去の出来事から未来を予測するだけでなく、時間的に後の出来事が前の出来事の解釈に影響を与える「ポストディクション」が、対象の位置の知覚において強固に機能することを確認したと述べています。例えば、「極めて短期間に3つの光を次々に提示すると、それらの位置を様々に変えても順に並んで知覚される傾向があり」、「3番目の光が提示された後に、2番目の光の位置を知覚的に決定していると考えられる」というのです。この現象は、現実をありのままに見ることの難しさや目撃証言の信ぴょう性の限界を理解することにつながるとも述べています。本研究グループは、「視覚や脳のプロセスにおける欠点や限界を知るだけでなく、逆に私たちの視覚は、限られた能力を補うためにとても効率化された創造的なシステムであることを示すことができる点に、錯視研究の面白さがある」と結んでいます。
過去の位置の知覚は後から決定される | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY) (kyushu-u.ac.jp)
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