睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に無呼吸や低呼吸が生じる病気ですが、年齢を問わずさまざまな世代にみられ、およそ50万人を超える患者がいるそうです。さて、その中の閉塞性睡眠時無呼吸患者の約1/3において抑うつ症状がみられると話すのは、京都大学学生総合支援機構及び京都大学大学院医学研究科らの研究グループです。その治療法の一つである持続陽圧呼吸療法を受けても、「抑うつ症状が持続する患者が約40%いるとされ、病態の解明や治療法の開発が求められている」そうです。近年の研究では、睡眠不足、不規則な睡眠覚醒リズム、夜型生活など、様々な疾病のリスクとなる睡眠の側面があることが明らかになっている」とか。それをスリープヘルス(睡眠健康)と呼ぶのだそうです。このスリープヘルスは、睡眠時間のような一つの尺度だけでなく、満足度、覚醒度、タイミング、効率、持続時間など、 夜間睡眠と日中の機能障害について多次元的に評価することが重要と考えられているようです。そして、これまでの大規模な疫学調査の分析から、スリープヘルスが悪いことは抑うつ症状およびその発症と関連することが明らかになっているとか。ただ、これまで閉塞性睡眠時無呼吸患者を対象とした研究は行われていませんでした。本研究では、「スリープヘルスが抑うつ状態と関連すること、悪いスリープヘルスが重複すると抑うつ状態との強い関連を示すことが明らかとなった」と述べています。そして、今後は「スリープヘルスが悪い場合に、それを改善するための介入方法を確立し、その介入効果を検証していくことが求められる」と結んでいます。今回のスリープヘルスの知見を基に、患者のQOLの向上をもたらす新しい治療アプローチの開発につながるといいですね。
スリープヘルスと抑うつ状態の関連―CPAP治療中の閉塞性睡眠時無呼吸患者の調査― | 京都大学 (kyoto-u.ac.jp)
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