港区立高輪いきいきプラザ

2024.05.31

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シカの個体数の増加と炭素蓄積量

シカの個体数が増加すると、森林にどのような影響を与えるのでしょうか。低い樹木の稚樹や、草本、灌木などを覆う植物を採食するシカによって、「森林の二酸化炭素の貯留機能を劣化させることを初めて示した」と発表したのは、九州大学大学院生物資源環境科学府及び大学院農学研究院らの研究グループです。ご存じの通り、森林生態系は二酸化炭素を吸収し、蓄えることで気候変動の緩和に貢献しています。しかし、個体数の増加したニホンジカの植生採食が深刻化しており、下層植生の減少や不嗜好性植物への置き換わりが生じているそうです。また、樹木の枯死によって生じたところでは稚樹の更新が阻害され、裸地化しているとか。これまで、こうした森林構造の変化が森林の炭素蓄積量にどのような影響を与えるのか明らかになっていなかったのです。本研究では、「山岳林でフィールド調査を行い、シカによる森林構造の変化が森林の炭素蓄積量をどの程度減少させるのか計測し、その結果、天然林を構成するブナやモミの針広混交林が、シカに不嗜好なアセビの灌木林や、ギャップ地に変化することで、生態系内に蓄えられた炭素が最大49%減少することが明らかになった」と伝えています。本研究結果は、「森林の二酸化炭素の貯留機能を劣化させることを初めて明かしたものであり、将来の気候変動を緩和させるためにもシカの食害対策が重要である」と訴えています。

 シカの増加は森林の炭素貯留機能を半減させた | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY) (kyushu-u.ac.jp)

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