2024.05.24
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肺がんに新たな治療法
金沢大学がん進展制御研究所/ナノ生命科学研究所らの研究グループは、「KRAS遺伝子変異を持つ肺がん(KRAS 肺がん)に対する WEE1タンパクを標的とした新しい治療法の開発に成功した」と発表しました。 当プレスリリースによると、KRASとは、細胞の成長や分裂を調節するタンパク質であり、正常な KRAS は細胞に成長や分裂の指示を出すそうです。しかし、このKRAS 遺伝子に変異が起こると、細胞が制御不能に増殖し、がんの原因になるとか。因みに、KRAS 変異は「肺がん、大腸がん、膵臓がん」などに関与しているというのです。そこで、細胞周期を調節するタンパク質であるWEE1に着目。細胞周期とは、細胞が成長し、分裂する過程のことだそうです。このWEE1 は、細胞周期のブレーキとして機能し、細胞が損傷を受けたときに修復するための時間を生み出す役割を担っているそうです。実は、最近日本でもKRAS-G12C 変異に特異的な阻害薬(KRAS-G12C 阻害薬)が肺がんで承認されたそうですが、有効性が限定的で耐性が課題であり、より効果的な治療法の開発が求められている中、本研究では、KRAS 変異肺がんにおいて、746 種類の遺伝子を実験的に破壊することで探索し、WEE1 という分子を新しい治療標的として明らかにしたというのです。本研究グループは、「これらの知見は、KRAS 阻害薬単独の有効性が限定的であるKRAS 肺がんに、新たな治療選択肢を提供し、生存率の向上に貢献することが期待される」と述べています。