2024.05.17
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PTSDと新たな治療法
嫌な経験は早く忘れたい、そう思われるのは人間の心理として当然ですが、戦争や災害など、あるいは身近な人の死など忘れられないトラウマ記憶に苦しむPTSD患者が世界には多くいることも事実です。その心的外傷後ストレス障害 (PTSD) の新たな治療法開発に取り組む九州大学薬学研究院らの研究グループは、「海馬の神経新生(神経細胞のもととなる神経幹細胞が、神経細胞へと分化すること)の増加および神経回路への組み込みがトラウマ記憶の忘却を促し、PTSDに類似した症状を減弱させることを明らかにした」と発表しました。「新しく生まれた神経の回路への組み込みがトラウマ記憶の減弱に寄与する」というのです。マウスを使った実験では、「新生神経の突起を伸長させ、神経回路への組み込みを促すことで、トラウマ記憶とPTSD症状が減弱した」そうです。今回、海馬神経新生がトラウマ記憶とPTSD症状を減弱させる新たなメカニズムが明らかになったことで、「神経新生をターゲットとした新たなPTSD治療法の開発に期待したい」と結んでいます。