2024.05.17
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ナノプラスティックと疾患
生分解性プラスティックが深海では微生物によって分解されることを実証したのは東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループ。また、温度の低い環境下でのプラの生分解性と伸びを改善したのは産経研。というように様々な試みが各方面で行われている今日ですが、残念ながら膨大なマイクロプラスティックは海や川や大気など様々な環境中で見つかっています。そうした中、今年3月に国内の複数の人から採取された血液に「ナノプラスティック(直径4分の1ミリ以下)」の極めて小さな粒子が含まれていることを東京農工大の研究グループが明らかにしています。加えて、それらのグループ分析の結果、腎臓や肝臓などからもポリ塩化ビフェニール(PCB)という有害化学物質が見つかっています。このように人体への蓄積の実態さえ示されていますが、この物質の特性として体内に取り込まれやすく、今後さらなる生物への影響が心配されます。ところで、4月25日付東京新聞の記事によると、頸動脈疾患の患者257人の血管にできたプラークを切除して分析したところ、6割から直径5ミリ以下の「マイクロプラスティック」が検出されたとイタリアの研究チームが発表したそうです。繰り返しになりますが、プラスティックがゴミとして海や川に流れて「マイクロプラスティック」という微小プラになり、それを魚などが食べることで体内に取り込まれる、そして人間がその魚を食べるという負のスパイラルが発生しているのです。もちろん、微小プラと疾患の因果関係については、まだ明らかにされていませんが、こうした物質が心臓発作や早期死亡の原因になっていると指摘する最新の研究も発表されています。では、私たちは何をすればよいのでしょうか?答えは実にシンプルです。①プラスティックを含む製品の購入を控える②道路や海や川などにプラスティックごみを安易に捨てない③質の悪いプラスティックを使わない。要はゴミに対する意識を高めることに尽きるのではないかということです。