港区立高輪いきいきプラザ

2024.05.10

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認知症薬と日々の努力

以前、日刊ゲンダイヘルスケアに日本認知症学会理事長で東大大学院医学系研究科神経病理学分野の岩坪威教授の記事が掲載されていましたが、アルツハイマー病治療の新薬の「レカネマブ」について「認知機能の低下を抑え、病気の進行を緩やかにする初めての薬」という説明がありました。プラセボ(偽薬)患者と比較して、認知機能低下が27%抑えられたそうです。その話の中で特に興味深かったのは、「アルツハイマー病の薬は長らく『神経細胞に足りなくなった物質を補う薬』だけだった」のですが、新薬レカネマブは、「アミロイド斑ができる過程で、たまったアミロイドβを除去する薬」である点が画期的なのだそうです。加えて、上述の岩坪教授によれば、レカネマブでは「認知症に至らないMCI(軽度認知障害)と軽症の認知症を対象に臨床試験を行ったことで、今回の結果が出た」ということです。この新薬について、「投与量を増やせれば臨床効果も得られるが、副作用のリスクも大きくなる。副作用のリスクを最小限に、しかし可能な範囲の高用量を用いることが可能になりました」とも述べています。一方で、同サイトの別の記事には、「認知症も薬物療法だけがすべてではありません。認知症は、脳の老化を遅らせる予防活動が非常に重要」という記述がありました。「生活を健康的に改善することで発症リスクを下げる2次予防と、認知機能の低下スピードをゆっくりする3次予防は可能です」とも。以下、「介護予防」と同様に重要な点ですが、では、私たちは具体的に何をすべきか。「中年期からでも解決できる危険因子として、聴覚障害、外傷性脳損傷、高血圧、過度のアルコール消費、肥満、喫煙、うつ病、社会的接触の少なさ、運動不足、糖尿病などが報告されています。これらの危険因子の予防に取り組むと、認知症患者数を約40%減らしうると推計されています」という長文をあえて引用させていただきました。加えて、聞こえの悪くなる「聴覚障害」も認知症リスクを高める要因の一つであるということです。日本には補聴器に関するエキスパートがまだ足りないという意見もあるようですが、なるべく自分に合った補聴器を見つけることもリスクを減らす重要な手段であることは間違いありません。ともあれ、繰り返しになりますが、認知症の危険因子(運動不足、肥満、高血圧、糖尿病、喫煙、社会的孤立など)を一つひとつ取り除く、日々の努力に勝るものはないかもしれませんね。

高輪いきいきプラザでは、「高齢者のいきがいづくり・学びの場」「介護予防・健康作りの場」「ふれあいコミュニティ活動の場」という3つの活動の場として、趣味やスポーツ、学習などを通じて健康で豊かなひとときを提供しています。(60歳以上の港区民の方であれば、どなたでもご利用いただけます)例えば、体力強化のために、自主的に筋力の向上と日常動作の改善を図る「セルフマシントレーニング」を始め、健康トレーニング、ヨガのエクササイズ、「笑って体力づくり」など、豊富なメニューで利用者の体力づくりをサポートしています。また、脳トレの観点から、「たのしい脳育」「カラオケ」「ビリヤード」、また「おりがみサロン」「塗り絵サロン」「レディースサロン」「囲碁サロン」なども楽しむことができます。もちろん、利用者同士の交流の機会も数多くあります。当館1階の「コミュニティカフェ」では随時コンサートなどのイベントを開催。高輪いきいきプラザは、これからも、利用者の皆さんが「いきいきとした毎日」を送られるお手伝いをしていきたい考えです。

 



 

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