港区立高輪いきいきプラザ

2024.05.03

  • ニュース

母親の抗体と子の脳の発達の関係

群馬大学大学院医学系研究科附属教育研究支援センターらの研究グループは、「母親の抗体が子の脳の発達に与える影響を、マウスを用いて調べたところ、脳の様々な細胞の数が変動することや、マウスの社会性に影響を与えることが明らかになった」と発表しました。ご存じのように、母親の抗体は胎盤や母乳を経由して子に渡されますが、脳に与える影響については解明されていなかったそうです。本研究グループは、「母乳による育児は子の脳の発達に影響を与える可能性が示唆された」と述べています。具体的には、次のことが解明されたそうです。①母親の抗体が子の脳にまで到達し、脳内にいるミクログリア細胞に結合することを発見 ②抗体に結合したミクログリアは特定のタンパク質を分泌し、脳の各種細胞の密度に影響を与えた ③脳の特定のニューロンの数が変化し、社会性行動に違いが生じた。さて、母親の抗体については、子の免疫力を高めることがすでに知られていました。しかし、脳に与える影響については知られていませんでした。 今回、本研究グループは、母親の抗体が子に渡されないマウスを遺伝子改変技術により作製したところ、子マウスの脳内の特定のニューロンやグリア細胞の密度に変化が見られたそうです。また、 これらのマウスの行動を解析したところ、母親の抗体をもらえないマウスは、通常のマウスに比べ、他のマウスに接触する時間が増えていたとの事です。今回の解析はあくまでマウスによるものですが、ヒトにおきかえた場合、母親の抗体が子の脳の発達に良い影響を与えているのか、悪い影響を与えているのかについては、解釈が難しいと述べています。今後、本研究グループはさらなる研究を進め、より詳細について明らかにしていきたいと結んでいます。

press_R060502.pdf (gunma-u.ac.jp)

一覧へ戻る

カテゴリ
年月で絞り込む