2024.04.24
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ポリファーマシーって何?
高齢になると複数の持病を抱えて薬の数が増えてくるケースが多くなるはず。厚労省の調査では、60歳を超えると7つ以上の薬を受け取り、75歳以上ではそれが約4人に1人と言われています。一度に多種類の薬を服用することを「ポリファーマシー」と呼ぶのだそうです。そして、もし処方される薬が6つ以上になると、副作用を起こす人が増えることが大きな問題となっています。因みに、高齢者に起こりやすい副作用は「ふらつき・転倒、物忘れ」だとか。特に ふらつき・転倒は薬を5つ以上使う高齢者の4割以上に起きているそうです。加えて、高齢になると骨がもろくなるので、転倒による骨折をきっかけに寝たきりになり、寝たきりが認知症を発症する原因となる負のスパイラルもあるということです。さらに、高齢になると飲んだ薬が体内に残りやすくなるともいわれています。うつやせん妄(頭が混乱して興奮したり、ボーっとしたりする症状)、 食欲低下や排尿障害などが起こりやすくなるようです。「フレイル(虚弱)の高齢者が多剤服用した場合、薬物有害事象の割合は33%に達した」と報じたのは、4月23日付東京新聞です。「厚生労働省も診療報酬改定で、内服薬を減らす取り組みを評価する加算を新設し、対策に本腰を入れてきた」とも伝えています。因みに、日本医療開発機構のHPには「高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用」と題するパンフレットを掲載していますので、ご参考にして下さい。例えば、「不眠症」では特にベンゾジアゼピン系の薬の副作用としてふらつき、転倒に 注意が必要。勿論、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬も、ふらつき、 転倒が起こる場合があるとか。うつ病の薬に関しては、便秘、口腔乾燥、認知機能低下、眠気、めまいなどに注意が必要。 特に、副作用が認知症の症状と紛らわしい薬には、「ベンゾジアゼピン系の薬、三環系抗うつ薬の他に、 パーキンソン病薬の一部、アレルギー薬の一部などがある」ことをお忘れなく。つまり、高齢者では認知障害を発症する可能性を高める薬はできるだけ使わないほうが賢明なのです。 次に、循環器病の薬で特に注意が必要なのは、脳梗塞や心筋梗塞の予防に使う抗血栓薬だそうです。これは血液をさらさらにして血栓ができるのを防ぐ薬ですが、その一方で出血を起こしやすくするため、胃などの消化管からの出血、脳出血 のリスクを高めると言われています。勿論、脳梗塞や心筋梗塞の予防に欠かせない薬のため、自己判断で飲むのを中断するのはNG。高血圧の薬ではループ利尿薬、α遮断薬、β遮断薬は、必要があって使う場合でも特に慎重に使うべき薬だということです。ともあれ、加齢とともに体の状態、薬の効き方が変化するため、高齢者には高齢者に適した処方がされていますが、ただ高齢になると病気を完全に治すことは難しくなりますので、安全を第一に考えた薬の使い方が大切だということです。