2024.04.12
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高血圧と脳・心血管疾患の深い関係
血圧が高い、と悩まれている方は多くいるはず。実は、「少し高い血圧」の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが高まること、そして脳・心血管疾患を発症した人の数は、血圧分類の「少し高い血圧」から「軽め高血圧」までの働く人に多いことがデータから裏付けされた、と発表したのは横浜市立大学 医学部公衆衛生学・大学院データサイエンス研究科の研究グループです。10数社の企業から参加した81,876人を最大9年間追跡調査した結果だそうです。脳・心血管疾患は日本人の死因の第2位であり、職場での労働損失の原因疾患としては第3位に位置するとか。日本高血圧学会は高血圧治療ガイドライン2019を提唱しましたが、この新しい血圧分類と脳・心血管疾患発症の関係を調べた日本の研究はほとんどなく、新たに定められた正常高値血圧の段階から脳・心血管疾患リスクがどの程度上昇するかははっきりしなかったそうです。企業等に勤務する人を対象としたJ-ECOHスタディ(企業等10数社による多施設共同研究)のデータを用いて、働く世代における最新の血圧分類と脳・心血管疾患発症との関係を調査。本研究の調査結果から、たとえ健康診断で血圧があまり高い値ではなかったとしても、意識的に血圧管理に取り組んでいくことが大切であると述べています。今後、正常高値血圧・高値血圧から正常血圧まで血圧を戻すことで、脳・心血管疾患リスクが低下するかどうかを検証していくことが望まれると結んでいます。
因みに、血圧分類は下記の通りです。
(1) 正常血圧(収縮期血圧 120 ㎜Hg未満かつ拡張期血圧 80 mmHg未満)
(2) 正常高値血圧(収縮期血圧 120-129 mmHgかつ拡張期血圧 80 mmHg未満)
(3) 高値血圧(収縮期血圧 130-139 mmHgかつ/または拡張期血圧 80-89 mmHg)
(4)Ⅰ度高血圧(収縮期血圧 140-159 mmHgかつ/または拡張期血圧 90-99 mmHg)
(5) Ⅱ度高血圧(収縮期血圧 160-179 mmHgかつ/または拡張期血圧 100-109 mmHg)
(6) Ⅲ度高血圧(収縮期血圧 180 mmHg以上かつ/または拡張期血圧 110 mmHg以上)
少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍に —就労世代8万人の大規模調査から報告— | YCU Research Portal (yokohama-cu.ac.jp)