2024.04.12
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もやもや病って何ですか?
成人もやもや病をご存じですか?難病情報センターのHPによると、脳の血管に生じる病気だそうです。「内頚動脈という太い脳血管の終末部が細くなり、脳の血液不足が起こりやすくなります。このため、一時的な手足の麻痺、言語障害を起こすことがしばしば見られます。血流不足を補うために拡張した脳内の血管、“もやもや血管”が脳底部や脳室周囲などに見られることが特徴です」と記されています。現在のところはっきりした原因は解明されていないとか。このもやもや病は、人口10万人あたり6-10人程度いると考えられているそうです。さて、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経機能外科学分野の研究グループは、順天堂大学、東京都健康長寿医療センター、名古屋大学との共同研究で、「もやもや病を対象とした脳画像研究を行い、脳血流低下と脳の老廃物排出機能であるグリンパティックシステムの関係を検討した」と発表しました。このグリンパティックシステムというのは、「脳内において、体のリンパ系と似た働きを持つ循環システム」のことで、「脳の細い血管のまわりの空間にそって水分を動脈側から静脈側へ循環させ、老廃物を運ぶ」のだそうです。つまり、この循環システムの働きが、脳血流低下によって悪くなり、認知機能低下につながる可能性を示した」ということです。本研究グループは、「これまで生きたヒトで脳血流とグリンパティックシステムの関係を調べた報告はなく、脳血流が低下するとグリンパティックシステムの働きが悪くなる可能性は、今回初めて明らかになった」と述べています。そして、「今後、同じ患者さんの血行再建術を行う前と後のデータを集めていき、血行再建術がもやもや病患者さんのグリンパティックシステムの機能を改善するのかどうか、探索していく予定です」と結んでいます。
「 成人もやもや病患者における脳血流と脳老廃物排出機能 」【原祥子 助教】 | 国立大学法人 東京医科歯科大学 (tmd.ac.jp)