2024.04.10
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尿路結石の新たな治療法とは?
今や尿路結石は国民病なのだそうです。実際、国民の10%が罹患しているとか。この病気、戦後食生活が欧米化するにつれて増加しつつあるようです。ご存じのように、石は腎臓内で形成され、下降して尿管を詰まらせることにより、強烈な背部痛を引き起こします。加えて、結石に対して適切な治療が施されない場合、腎不全や尿路感染症 を引き起こすこともあるのです。その再発率は5 年で50-60%。そこで、新たな予防薬や再発リスクを減少させる方法の開発が重要な課題となっています。そこで、治療法ですが、結石のサイズが小さい場合、自然に体外へ排出されるのを待つのが一般的。しかし、サイズが大きい場合には衝撃波や内視鏡による破砕手術が行われています。結石の再発を防ぐ最も効果的な方法は「十分な水分を摂取すること」であり、この予防法は 約2000 年前から変わっていないとか。さて、こうした背景から、名古屋市立大学大学院医学研究科の研究グループは、「2008 年にマウスを使った研究で、尿路結石が自然に消える現象を世界で初めて確認し、この現象がマクロファージによる結石の溶解であることを明らかにした」そうです。そして、続く研究で、「特に炎症を抑制する役割を持つ M2 型マクロファージが結石の予防に有効であることを発見」しました。この発見は、マクロファージ を対象とした新たな結石溶解治療法の開発に向けた一歩となったそうです。ただ、マクロファージの利用には数の制限があるため、iPS 細胞から生成された大量 のマクロファージを用い、これらのiPS 細胞由来マクロファージが結石を溶解する能力を持つことを、明らかにしました。本研究グループは、尿路結石研究における新しい アプローチを提供できるだろうと結んでいます。