2024.04.05
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日本書紀は古代のカルテなのか?
先天異常は全新生児の約6%が有するといわれているようです。その先天異常の予防や治療に関する体系的研究が始まったのは1960年代以降であり、それ以前にどういった先天異常がどの程度存在したかという実態は世界的にほとんど解明されていないそうです。そこで、京都大学らの研究グループは、その暗黒時代の解明に日本の古典が役に立つのではないかとの観点から、日本書紀に注目。そこには、初代天皇から41代天皇までの天皇系譜と事績が記述されていますが、その中には先天異常を患っていたと考えうる記述が含まれていることを本研究グループが発見。それらの記述を、医学的ならびに史学的観点から検証したところ、明確に先天異常だと考えうる記述も発見できたと述べています。本研究は、これまで専ら史学的資料として取り扱われてきた文献を新たな視点で読解することで、古代文献にある種の医学カルテとしての意義を持たせ、同様の研究アプローチを広めていくことで日本のみならず古代における東アジア全体の先天異常実態解明に寄与できる可能性を示すことができたと結んでいます。研究者の一人は、「日本書紀などの古典には、研究する者の醍醐味であるワクワクが潜んでいる」と語っています。
2404_tohjima-90d4ac66548124c2c3f800d939e9bc35.pdf (kyoto-u.ac.jp)