2024.03.22
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脳が排尿を制御する新しいメカニズムとは?
「脳が排尿を制御する新しいメカニズムを明らかにした」と発表したのは、山梨大学大学院総合研究部医学域生理学講座神経生理学らの研究グループです。今回の研究の背景ですが、「膀胱に尿が溜まってくると膀胱内圧が上昇しますが、脳は、膀胱内圧の上昇を検知し、 適切な場所、適切なタイミングで尿を排出するために重要な働きをしている」そうです。ただ、脳卒中や脳幹部の脳出血を起こした多くの患者には排尿障害がみられる一方、前頭皮質の病変では、頻尿や尿意切迫感などの尿をためる障害がみられることから、脳の様々な領域 が、排尿と蓄尿を適切に制御していることがわかっていると述べています。今日では、中脳水道周囲灰白質(PAG)や橋排尿中枢(PMC)と呼ばれる領域が、排尿の司令を脊髄に送っていることは解明されていますが、排尿時に活動する他の脳領域の役割は、あまりよく知られていなかったため、本研究グループは、特定の神経細胞を選択的に刺激することができる光遺伝学(オプトジェネティクス)法という方法を用いて、マウスのACC(前頭皮質の一部である前帯状皮質)の神経細 胞を選択的に刺激し、膀胱内圧に対するACC の活動の影響を調べたそうです。その結果、 「ACC の興奮性神経細胞を選択的に刺激して、活動を上昇させると膀胱内圧が上昇すること、逆に ACC の抑制性神経細胞を選択的に刺激して、活動を抑えると膀胱内圧 の上昇が抑制されることを突き止めた」と述べています。今回の研究成果を受けて、本研究グループは「脳による排尿制御の全貌が明らかになること」そして、「将来的に、本研究で用いた神経活動操作法を排尿障害や蓄尿障害をコントロールする方法として活用できるのでは」と期待を寄せています。
20240319pr.pdf (yamanashi.ac.jp)