2024.03.08
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加齢性肥満と脳の仕組み
「加齢性肥満(中年太り)の原因となる脳の仕組みを世界に先駆けてラットで発見」と発表したのは、東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科統合生理学分野らの研究グループです。加齢と共に体重が増えて、ぽっこりお腹になる中年太り。そのメカニズムは今までよくわかっていませんでした。そこで、本研究グループは「代謝や摂食を調節する脳の視床下部のニューロン(神経細胞)に着目し、抗肥満機能を持つメラノコルチン4型受容体(MC4R)の細胞内局在が、ラットの加齢に伴ってどのように変わるかを調べた」というのです。その結果、MC4R局在の一次繊毛が「加齢に伴い退縮することを発見」。MC4R 局在一次繊毛の退縮は過栄養状態で促進され、摂餌量を制限すると抑制されることも分かったとのこと。そこで、一次繊毛を強制的に退縮させると、摂餌量が増えるとともに代謝量が低下し、肥満になったというのです。これらの結果から、本研究グループは、「加齢に伴って視床下部ニューロンの MC4R 局在一次繊毛が退縮することによる MC4R の減少が加齢性肥満の原因であることを突き止めた」と述べています。このことは、肥満の治療に大きな希望を与える実験結果であったとのこと。肥満は糖尿病など様々な生活習慣病のリスクを大きくします。本研究グループは、「今回得られた知見をもとに、生活習慣病を未病の段階で検出し、発症を予防する技術の開発や、肥満の根本的な治療法の開発につなげていきたい」と結んでいます。
中年太りの仕組みを解明 ~肥満による生活習慣病の画期的な予防・治療法へ大きな 1 歩~ - 名古屋大学研究成果情報 (nagoya-u.ac.jp)