港区立高輪いきいきプラザ

2024.03.08

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妄想の神経メカニズムとは

「妄想」という言葉を、普段私たちは何気なく使っていますが、「妄想症」とは区別しなければなりません。この病気、強い苦痛を伴うようです。妄想を持つ人は少ない情報で結論づける傾向があるとか。その妄想について、神経メカニズムは今まで明らかになっていなかったとのことです。一方、妄想と結びつく総合失調症に関しては、線状体のドーパミンが軽度上昇するため、それを抑える薬が有効であるだろうと推察されていますが、明確な研究結果は示されていないようです。こうした背景から、愛知医科大学医学部精神科学講座、京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座、そして東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科精神行動医科学らの共同研究グループは、「線条体および楔前部と呼ばれる脳領域の間の結合性(結びつきの強さ、活動の同期性)が、結論への飛躍および妄想の強さと相関することを世界で初めて明らかにした」と発表しました。具体的には、統合失調症を持つ患者37名と、比較対象として健康な方33名に参加してもらい、「結論を下すまでにどれだけ多くの情報量を必要とするか」を測定する実験を行ったそうです。加えて、脳のネットワークの結合性を見るために安静時の機能的MRIを実施し、独立成分分析と呼ばれる手法を用いることで、線条体を含めた主要な脳領域からなるネットワークの結合性を推定したそうです。その結果、線条体と楔前部大脳の内側面にある領域)と呼ばれる領域の間の結合性が負の関係であるほど、つまりお互いの活動がシーソーの様に逆であるほど、結論への飛躍が強いことが分かったと述べています。本研究グループは、「妄想の形成に関わる認知神経メカニズムが初めて示された」と結んでいます。

 

妄想の形成に関わる認知神経メカニズムを解明 | 国立大学法人 東京医科歯科大学 (tmd.ac.jp)

 

 

 

 

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