2024.03.06
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分子標的薬とアトピー
近年よく耳にする「個別化医療」という言葉ですが、一人ひとりの体質や病気に合わせた治療のことです。例えば、患者の遺伝子を調べたりして、と。そうした医療に使われるのが、「分子標的薬」だそうです。つまり、病気の原因に関わる特定の分子だけを選んで攻撃する薬なのですが、がん細胞だけを攻撃するため、正常な細胞へのダメージを軽減できる、つまり副作用も抑えられるというわけです。さて、本題ですが、その分子標的薬がアトピー性皮膚炎に使われているという話です。3月5日付東京新聞の記事が「新薬開発 広がる治療薬」と題して紹介していました。その記事によると、炎症の原因となるタンパク質「サイトカイン」の働きを抑制するため、比較的副作用は起こりにくいとか。発売されたのは2018年。注射薬、飲み薬、塗り薬の計9種類が承認されていると報じています。対象は、中等症以上。処方されて劇的に良くなる人もいるようです。ただ、薬価は結構高いです。3割負担で17000円ということですから、経済的に続けるのは簡単ではないでしょう。また、同記事によると、アトピー性皮膚炎に悩まれている患者の中でも、この分子標的薬の注射薬「デュピルマブ」の存在を知らない方も多いということです。あきらめる患者は決して少なくないようですが、治療をめぐる環境は日々変化していることですから、最新の情報にはアンテナを張っておきたいですね。